ドローンビジネス情報:DJIの記事
【DJI新製品】DJI TERRAとは?
DJIから新しいソフトウェア、"DJI TERRA"がリリースされました。
※この記事を作成してから大幅なアップデートがされております。最新機能は以下のリンクもご参照ください
DJI TERRAの機能アップデートについて
ソフトウェアは目的があって初めて使われるものなのですが、何ができるの?というところを中心に簡単にご説明したいと思います。
■なんのためのソフトウェア?
DJI Terraは大きく分けて4つの機能を持ちます。
- ミッション計画:ドローンの飛行ルートをソフトウェア上で作成しドローンの自動航行につなげます
- データの取得:自動航行を行い、指定されたポイントで動作(主に空撮)を行います
- エリアマッピング:自動航行で得た空撮データを利用し2D、3Dマッピングを実施します
- データ分析:2D、3Dマップ中のデータから距離、面積、体積を計算することができます
これらの機能を利用することで、複雑な地形での点検業務や農薬散布を自動飛行で対応できるようになる、業務効率化ソフトウェアとなります。
またライセンスは下表の通り、AdvancedとPro、Electricityがあり、Pro版を利用することで3Dデータの作成が行なえます。(2020/9/16更新)
■今までのソフトウェアと何が違うの?
DJIドローンを制御するソフトは多数あり、DJI 社がリリースしているものも多数あります。その一例が下図になります。
見てご理解いただける通り、自動航行は今までのソフトウェアで行うことができ、2Dや3Dのマップ生成も3rd Partyで行うことができました。では何故DJI TERRAが必要なのか。DJI TERRAが持つ他には無い新たな機能をここではご説明したいと思います。
DJI TERRAのすごい機能1:作成した3Dマップ上に飛行経路作成ができる!
DJI TERRAでは作成した3Dマップ上にミッション計画が作成する事ができます。今までは地形把握をして、シュミレーションをして・・・と非常に手間だったのですがDJI TERRAではこのソフトウェア一本で対応することが可能です。またウェイポイントで撮影する経路のシミュレーションが撮影を含めて可能なので、どのポイントでどのような写真が取れるかまでの想定ができます。これによりパイロットの腕が超一流じゃなくても複雑な飛行と点検用の空撮が可能になります。また農業機のMG-1にも対応しており今まで手動でなくては対応できなかったポイントもこれでクリアできる可能性が出てきます。
DJI TERRAのすごい機能2:知りたい3Dマップ上のポイントの写真がオンデマンドで表示できる!
作成した3Dマップ上で気になった点の画像をピンポイントで表示することができます。不動産点検などで物件の3Dモデルを作成し、モデルをくるくる回して気になったところをピンポイントで見る、というようなことも可能になります。
その他の充実した機能
上記の2機能は他のソフトウェアには無い特徴的な機能ですが他にも様々な機能があります。
- 傾斜ミッション計画:ドローンのジンバルの角度を変えて複数のデータを撮影することで3Dマップの精度を上げることができます
- 2D&3D測定:2D、3Dマップ上で指定した部分の距離、面積、体積を測定することができます
- アノテーション機能:撮影したマップ上に注釈をつけることができます。これにより過去フライトの注意点や他社への伝言などを残すことができます
複雑な自動航行と2D,3Dマップ作成をする上では非常に強力なツールであると言えると思います。特に上記にも記載しましたが、複雑な地形での点検作業や特殊な地形での農薬散布ドローンの制御では有益なツールとなると思います。
■利用する上での課題・注意点
これだけべた褒めしているのでなんでも使える、と捉えられてしまいがちですがいくつか注意点があります。
現状CADとは連携できない
I-Constractionなどで言われるような3D CADへの3Dマップデータを出力する上で点群(ポイントクラウド)と言われる3次元座標を持った3Dデータでの出力が必須となるのですが、現状DJI TERRAではこの出力が出来ません。それ故、もし撮影したデータをCADに、ということであれば別の3次元復元ソフトウェアで3Dデータを作り直す必要があります。
※2019/9のアップデートで点群出力できるようになりました!
詳しくはコチラ (DJI TERRAの機能アップデートについて)
パソコンと送信機をつなげた運用となる
DJI TERRAは送信機をパソコンに接続して利用することになります(※2)。その為、スマートフォンやタブレットで利用する他ソフトウェアと違い機動力がどうしても低下してしまうのと、持ち運び移動する際に落とさない・壊さないようより注意が必要となります。また3Dデータを作成する際は、パソコンのCPU/GPUもそれなりにパワーが必要になるため、端末選びも注意が必要です。
※2:必要なハードウェアスペックについては下記ご参照ください。
/product/000521.html
自動航行は完璧ではない
自動航行ソフトウェアは使い方を覚えてしまえば非常に強力なツールです。そもそも人間では難しい決まったエリア/ルートの飛行や等間隔での撮影やピンポイントでの撮影を指定した通りに行ってくれるので撮影する上でも非常にありがたい手法です。
しかしながら注意しなくてはならないのは周囲の環境、特に風と電波です。自動航行は指定された座標を忠実に飛行しようと思いますが、急な横風などを対処するような機能までは無いのが現状です。経験有る方もいらっしゃるかと思いますが、風が強い場合、高度を変えたりしながらなんとか戻したりしなくてはならないのですが、現時点で自動でそこまではしてもらえません。また磁場が強い場所やGPSが入りにくいポイントなどではドローン自体がコントロールを失うため、自身の腕で乗り切る必要があります。自動車の自動運転もそうですが最低限事故になりそうになったときの対処は把握する必要があり、そのためにもご自身で対処法を調べて練習したり、講習会等に参加してスキルを付けることは必須となります。自動航行が万能では無い点は、このソフトウェアに限らずご理解いただきたいポイントとなります。
■最後に
課題、注意点ではネガティブな点をあげましたがそれを差し引いても有り余る業務活用のためのツールであると思います。特に3Dマップ上で自動航行の飛行経路を作れるのは大きなメリットです。今までは自動航行の経路作れるけど、「実際にその経路飛ばして大丈夫だろうか...」と二の足をふむこともありましたが、地形データを一回取ればそれに基づいた経路を作成できるし、撮影したいポイントもデータに基づいて行うことが出来ます。今後、人が入っていけないエリアやゴルフ場のように目視はできるが地形が複雑で・・・というような点検業務、棚田や段々畑のような傾斜に対応した自動飛行での農薬散布での活躍が期待できるソフトウェアだと思います。
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