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冬におけるドローンの安全運用&メンテナンスガイド

    2020年12月23日
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    近年、ドローンは雪害救助、山岳救助、高地でのマッピングに広く応用されていますが、低温環境での作業がドローンの各部品にさまざまな影響を与えてしまい、これらの環境でドローンを操作する場合、使用者の操作スキルとドローンの性能が問われます。

    本ガイドは、北半球の冬の到来に伴い、各地の大幅に気温が下がる状況に応じて、ドローンの安全運用とメンテナンスを案内することにより、冬の寒い環境での飛行に対応することを目的としています。

    1. 冬におけるドローン作業時のリスク

    (1) 低温環境が推進システムに与える影響

    ①機体はリチウムバッテリーにより駆動されており、15℃以下の環境において、バッテリー内の化学物質の活性の低下により、内部抵抗が増加し、急激に出力電圧が大幅に下がってしまいます。バッテリーの単一セルの出力電圧が3Vより下回った場合、機体は最大推進力下での高機能姿勢飛行(Sモード/高速飛行)を維持することができなくなり、低電力での長時間飛行は電源が突然切れたことによる墜落事故を引き起こすリスクが高まります。

    ②低温かつ湿度が高い環境での飛行はモーターやプロペラの凍結を引き起こし、推進システムの負担がかかる可能性があります。

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    (2) 低温と氷雪がフライトコントローラーに与える影響

    フライトコントローラーにはビジョンセンサー、超音波センサー、IMU(ジャイロスコープ/温度計/加速度計/気圧計を含む)などのセンサーが含まれています。氷雪がセンサーを遮蔽したり、塞いたりすることで、センサーの正常な機能が妨げられる可能性があります。また、センサー上の積雪および機体内部と外部の温度差が激しいことが原因で、センサーが収集された周囲環境のデータが影響されたことにより、フライトコントローラーの正常な機能に影響が生じる可能性があります。

    (3) 温度の変化がジンバルに与える影響

    ①ドローン使用時の環境温度や湿度の変化により、カメラレンズに曇りが発生し、撮影に影響が生じる可能性があります。

    ②機体を温度が低い室外から温度が高い室内に持ち込んだ際、ジンバルの表面に結露が発生し、その水滴が機体内部に染み込んだ場合、電子パーツの破損を引き起こす可能性があります。

    ③低温環境はジンバルダンパーボールのラバーの劣化とグリースの固まりを加速することにより、ジンバルの安定性が影響され、画面の振動を引き起こす可能性があります。

    2. 冬におけるドローンの使用&メンテナンス

    (1) 離陸前の準備   

    ① バッテリーを満充電します

    離陸前のバッテリーは満充電で、かつバッテリー電圧が正常な状態であることを確認します。

    バッテリーをウォームアップします

    バッテリー予熱器やバッテリーのウォームアップ機能を使用して、バッテリーを15℃以上にウォームアップを行うことで、バッテリーの内部抵抗を減らすことができます。

    ③機体上の氷雪を取り除きます。

    機体上に氷雪が積もっている場合は、即時に取り除く必要があります。低温環境下で飛行時の水滴による凍結を防ぐため、センサーの表面に水滴がある場合は、即時に取り除く必要があります。

    機体をウォームアップします。

    機体の電源起動後、各センサーが正常に機能することを確保するため、機体を1分間ほどウォームアップを行ってから、フライトなどの操作を行ってください。カメラレンズに曇りが発生している場合も、機体のウォームアップ機能を使用して、細かい水滴の蒸発を加速させることにより、曇り問題を解決します。

    使用者の準備】

    ドローンを操作する際の注意力と集中力を保つため、低温環境で作業を行う場合は、防寒性に優れた防寒アイテムを準備する必要があります。また、雪原での作業を行う際は、光の反射などの目に対するダメージを軽減するため、ゴーグルを装着することが推奨されています。

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    (2) 飛行時の注意事項

    ①ホバリングしてウォームアップを行います。

    バッテリーのウォームアップを行うため、離陸後の機体は1分間ほどのホバリング状態を維持します。

    ②バッテリー残量を常に確認します。

    ローバッテリー状態での長時間飛行を防ぐため、通常温度環境下のRTHに必要なバッテリー残量より多いバッテリー残量の状態で飛行を行う必要があります。

    ③飛行姿勢の安定性を確認します。

    バッテリーの電圧急落および低温環境によるプラスチック製パーツの破損を防ぐため、長時間の高機能姿勢飛行(Sモード/高速飛行)を行わないようにご注意ください。

    ④飛行時の環境変化を常に確認します。

    センサー異常やパーツ凍結の発生を防ぐため、温度差が激しい環境での飛行をお控えください。また、ビジョンセンサーが正常に機能するように、積雪上の5m以下の低空飛行、または雪原など光の反射が強いエリアでの飛行をお控えください。

    ⑤慎重に操作を行います。

    極寒や吹雪などの天気で飛行を行っている場合は、アプリ上の安全飛行に関するエラー通知が表示されていないかをご注意ください。エラー通知が表示されている場合は、直ちに安全な場所に着陸を行ってください。重度のローバッテリー警告が発生している場合は、機体が自動的にRTHまたは着陸を行いますので、送信機をむやみに操作しないようにご注意ください。

    環境に応じて機種を選択】

    低温環境において、ドローンの高性能が求められています。作業の環境に応じて、適応性が高く、高性能な機種を使用することで、作業時の安全性が保証されます。M300 RTKなどの機種は低温環境下の厳格な信頼性テストに合格したため、低温環境における稼働時間がより長くなっています。

    (3) 飛行後の保管&メンテナンス

    ①機体表面の水滴/異物を拭き取った後、乾燥状態で保管します。

    機体を温度が低い室外から温度が高い室内に持ち込んだ際、機体/バッテリー/ジンバルの表面に結露が発生し、その水滴が機体内部に染み込んだ場合、電子パーツの破損を引き起こす可能性があります。よって、ドローンの使用完了後は即時に機体表面の水滴や異物を拭き取った後、乾燥状態で保管する必要があります。

    ②安全な場所で保管します。

    作業完了後、機体をキャリーケースに入れた状態で、直射日光を避けた5℃~20℃の安定した温度環境、かつ乾燥した環境で保管する必要があります。

    ③定期的なメンテナンスします。

    低温/氷雪環境での作業は一部のパーツの劣化や破損を加速するため、定期的にドローンに専門的なメンテナンスを行い、これらの潜在的な問題を発見し解決したうえで、ドローンの作業効率を向上させ、冬におけるドローン作業時の安全リスクを低減させます。

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