ドローンビジネス情報:基礎知識の記事
【ドローンで森林測量】手軽にできる森の健康診断をすすめよう!
近年、全国で集中豪雨や台風など異常気象による土砂崩れ被害のニュースが目立ちます。そんな風水害に対して、強い地盤を支えているのが森林だということはご存じの通りです。日本の国土の約6割が森林で覆われていることを考えれば、樹木の生育状態の良し悪しは、私たちが安心して暮らしていく上で、無関心ではいられません。そうした森林の健康調査にドローン測量の導入が始まっています。
今回は、森林測量にドローンがどんな役割を果たすのかについて詳しく見ていきましょう。
ドローン森林測量とは?
山の木を伐採したり、植林したりする際、事前に切り出す樹種や数量、あるいは苗木の本数などを決める必要があります。そのためには、作業現場の場所や広さなどを調べる測量が必要です。そうした測量を広範囲に対して迅速に、しかも手頃なコストで調査できると注目されているのがドローン測量という技術です。
森林測量の目的とは
林野庁の「林業の現状と課題」によると、わが国の森林の9割が面積10ヘクタール未満で、いわば小規模所有に過ぎません。また世代交代や転居などで、所有者の特定が困難な森林が多数あります。そのため、搬出ルート上で所有者の了解が取れず間伐作業ができないなど、森の健康管理に不可欠な業務遂行に支障が出ているのです。そこで林野庁では、各市町村で所有者情報などをワンストップで入手できる林地台帳の整備が進めており、2019年度から本格運用が始まります。この台帳は、森林の土地所有者届出や所有者からの修正申出等により徐々に精度を向上することとしています。
こうした調査の基礎データ取得に欠かせないのが森林測量なのです。
山を歩く、森の上から撮る、さまざまな測量方法
森林測量でも、都市部と同じくターゲットにレーザー光線をあて、反射光を受光するまでの時間から距離を割り出すレーザー測量が利用されています。スマート林業への取り組みとして、さらに進化した3Dレーザースキャナー導入の検討も始まっています。
林野庁東北森林管理局の広報誌「みどりの東北」の中で、パソコン上に3D画像で森林を再現し、直径や樹高、材積が自動で解析されること、同時に1本ごとの曲がりや、どんな丸太が採材されるのかまで自動解析が可能なこと、加えて地形情報も解析でき、沢や 傾斜、土質といった地形情報もわかることを伝えています。また、最適な木材搬出の計画が自動作成されることで、戦略的な生産計画・販売計画を立案することも可能になることなど、テストに当たった担当者がデジタルデータ利用の利点を伝えていることでも、その有用性が把握できることでしょう。
ドローンでできる山林測量とは?
こうした徒歩による調査は、詳細データを取得する優れた手段ですが、広大な土地を迅速に調べるには不向きといえます。スマート林業におけるもう一つの新しいツールとして注目されているのが、有人航空機ほど手間や経費がかからず、空から測量できるドローンの利用です。
3Dマッピングソフトで植生マップも簡単作成
ドローン測量は、航空写真測量と同様にステレオ写真の原理を応用し立体像を取得します。写真には、ドローンが撮影時に飛行した位置情報が記載されており、これらを利用して、測量対象の3次元点群データを取得して、正確な地図や直感的な状況理解に役立つ3Dモデルの作成が可能です。こうした地図や3Dモデルの作成は、3Dマッピングソフトを利用すれば、驚くほど簡単に行えるでしょう。
通常、ドローンに搭載されているカメラで撮影できるのは人の目で見える、可視領域です。ここからも多くの情報が取り出せます。例えば、健康的な植物は赤色光よりも緑色光を反射する傾向があるため、緑色に見えます。こうした反射傾向の違いから、植物の量や健康状態を直感的な把握に役立つ植生マップが作られるのです。
モバイルアプリと連携。自動航行、自動撮影、データも自動生成
DroneDeployは、そうした調査も可能な3Dマッピングソフトの一つです。モバイルアプリで測量したい地域や飛行高度などを設定。スタートボタンを押すだけで自動的に離陸して、測量開始ポイントまで移動して撮影飛行を開始します。撮影が終了したら、離陸地点まで戻って自動着陸します。あとは、撮影データをパソコンからアップロードするだけです。数時間後には、高解像度の2D地図や3Dモデルの完成を知らせるメールが届きます。さらに便利なのが、Live Mapです。これは、携帯電話やデータ接続がなくても、ドローンが飛行している間に、低解像度ではあるものの2D地図をiOSデバイス上に作成するというもので、通信環境が良くないことが多い山間部で特に重宝される機能だといえるでしょう。
森林測量はこれからが本番。ますます広がるドローン活躍の場
国土交通省によると、地籍調査の進捗状況(2017年度末)は、宅地が54%、農用地が74%の地籍調査です。林地も45%と比率ではかなり進んでいるように見えますが、国土の6割以上の面積を山林が占めるだけに、実は、広大な未調査地域が残されているということになります。「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」の整備など、ドローン測量への国の取り組みが明確になる中、ドローンの活躍の機会はますます広がることでしょう。ドローンの一早い導入が測量ビジネスの裾野を大きく広げるのではないでしょうか。
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