ドローンビジネス情報:DJIの記事
DJI ZENMUSE L2 比較検証レポート
テスト日 2023年11月17日(金)
検証方法は、前モデルのZenmuse L1と同一ルートを同じ設定で計測した結果を比較、L2の反復・非反復モードでの計測結果の違いについても確認います。
6. 検証点の比較
Zenmuse L2とL1とで検証点の比較を行った。再現性や公平性を担保するためにソフトウェアによる自動検証点機能を用いて、Z値のみの比較を行った。ただ、DJI TERRAの検証点機能は地面直置きの検証点(対空標識)であれば有効であるが、LiDARドローン用の地面からかさ上げして設置した対空標識に対しては正確な値が得られない為、今回はGreenValley社LiDAR360の検証点機能を用いて比較した。
7. 考察
今回の比較検証結果を見て、最初に感じたのはL1 の健闘ぶりだった。L2 が測定精度の大きな向上やフットプリントの縮小、搭載カメラの高性能・高精細化などL1 と比べて確実にブラッシュアップされてい
るのは明白だが、L1 も対地高度を確実に50m 以内に抑えるなどいくつかの注意点を守れば、それなりの精度および地表面を取得できるのだと思う。
ただ、L1 が既に販売を終了しL2 がL1 と同等の価格帯で発売されることが確定したことで、L1 の役割は終了したと言える。L2 であれば、対地高度100m であってもL1 の対地高度50m のデータよりも
高精度なデータを取得することが出来るだろう。飛行高度を上げられるという事は、業務の効率化と飛行リスクの低減にダイレクトに反映されるのは言うまでもない。
また、特筆すべき点としてこのL2 が最新モデルのMatrice350RTK だけでなく、旧モデルのMatrice300RTK でも使用できることもL2 のシェア拡大をさらに後押しすることになるだろう(コント
ローラはRC PLUS への交換が必要)。
昨今の点群データは、高品質かつ広範囲のデータが簡単に取得できるようになり、LiDAR 機器においても据置型だけでなく、手持ちタイプやバックパック型に加えて自動車、ドローン搭載型などの移動タイプ
など機器の選択肢も広がってきており、それぞれの機器のいい所取りが出来るようになってきている。
点群データがかなり身近な存在になったこともあり、求められる点群データには3 次元位置精度や低ノイズだけでなく、見易さやデータの奇麗さ(点群の均等さやRGB や反射強度などを反映した時の色彩表
現)までもが非常に重要な要素となってきている。
その中においてもDJI Zenmuse L2 のMatrice350RTK を含めたLiDAR ドローンはその安全性と簡易性、対コストにおけるデータの品質においては群を抜いており、正直なところ驚きを隠せない。
L2 の発売により、これまで少なからずあったL1 のネガティブな要素はほぼ解消され、今後はDJI製LiDAR ドローンが実際の計測現場での選択肢に確実に入ることになると思う。
ただ1 点、本文中でも触れたが、L2 反復データの網目状の点群抜けが懸念される。飛行高度50mで0.1m くらいの均等な網目状の隙間が出来ている。0.1mの隙間は平面的に見れば大きな問題にはなら
ないかもしれないが、断面データを抽出する際、スライス幅を0.1m 程度にすると点群データが場所によっては半分くらいしか表示されていないことになる。これではせっかく高精度とフットプリント縮小による
細部の再現性が台無しになると思う。 L2 の非反復データでは、多少の隙間はあるがランダムに散らばっているため、断面を抽出しても特にデータの抜けは気にならないが、細部の再現性の観点からみると反復
モードはL2 であっても外せない選択肢になると思われる。
なお、本レポート執筆中にL2 の新しいファームウェア(V01.00.00.02)がリリースされ、直ぐに適応して確認してみたが、この網目状の点群抜けの現象は改善されていなかった。場合によってはこの症状は
機器の仕様上致し方ないものなのかもしれない。
またこの症状が全てのL2 に見られるのか、あるいは弊社の個体固有によるものなのか、今後の他社の発表するレポートやさらに多くの個体を確認するまでは分からないが、仮にどちらのケースであっても
今後のファームウェアのアップデート等による改善を期待する。
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