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ドローン測量と土木の関係性とは? 増加している理由と今後について

2019年03月28日
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家屋の屋根やソーラー発電パネルの点検などに、ドローンで撮影した写真が利用されていることはよく知られています。加えて近頃は、測量や土木工事へのドローン活用の話題が数多く聞かれるようになりました。ドローンと測量や土木とはどんな関係があるのでしょうか、またそれらが増加している理由や今後について解説します。

ドローン測量が建設業で増加している理由

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国土交通省の「建設投資見通し」によると、平成30年度の民間非住宅建設投資(民間非住宅建築及び民間土木)は、前年度比4.6%増の17兆7,700億円。前年度より9.5%も上回ると見込まれ、業界のさらなる好転が予想されます。ただ、測量技術者数が、東日本大震災からの復興などによる需要増に応えきれていないのも実情です。平成21年以降、政権交代による建設不況のあおりを受けて測量従事者が半減し、未だ回復に至っていません。

その解消策として急浮上してきたのが、測量現場へのドローンの導入です。広域を短時間で測量でき、取得したデータはデジタルであるため、成果品作成作業の高速化と高度化が容易で、データ共有による付加価値の拡大も可能であることなど、人手不足解消以上に、多くのメリットが期待できるからです。

さらに、ドローンの建設業界での利用は国土交通省が提唱するi-Constructionの(アイ・コンストラクション)の目玉であり、今後、この分野での規制緩和や助成拡大なども期待されています。

人手不足の緩和策としてのドローン

ドローンは、数平方メートルの平地があれば、どこでも離着陸でき、操縦も容易です。操縦の上手い下手に男女差はなく、これまで女性に敷居の高かった建設業界への門戸を大きく開くきっかけともなります。

測量が目的であっても、ドローンを操縦することに関しては、測量士・測量士補の資格は必要ありません(公共測量における UAV の使用に関する安全基準・案)。ドローンパイロットとして雇い入れ、OJT等を通じて専門家に育てていくことで、人手不足の緩和につなげていくことが可能でしょう。 

時間短縮が図れるツール

大手ゼネコンの鹿島建設が2015年9月に発表した資料で、同社のドローン測量システムと地上レーザー測量および光波測量で、2haの測地面積を対象として、測定日数・成果品作成日数・概算費用を比較したデータが掲載されました。それによると、光波測量では測量に3日かかり、成果品作成に10人工ほどで、地上3Dレーザー測量では、測量に1日、成果品作成に2工人かかっています。ところがドローン測量では、測量1時間、成果品は1 人工しかかかっていません。ちなみに人工とは、1人の大工(職)、1人の塗装工(職)など建築に関わる専門職の人が、1日に働く作業量の単位のことを指します。概算費用はドローン測量を1.0とすると、地上3Dレーザー測量は4.0、光波測量は5.6と、ドローン測量のコスト削減効果は目を見張るばかりです。

ドローンが進化している

ドローンは中型機や小型機でも、単焦点レンズと高精細、高画質のセンサーを持つカメラが搭載され、数年前の一眼レフカメラと比べても、何ら遜色がなくなりました。また、測量精度の決め手となる自動航行の精度も年々向上しています。RTK搭載機も登場しており、誤差は数センチに縮小されています。国土地理院が「UAV を用いた公共測量マニュアル(案)」で示す基準を十分満たすようになったこと、機体の取り扱いが簡単になったことなどが、ドローン導入の背中を押しているといえるでしょう。

ドローン測量の今後とは?

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すでに、ドローンが収集する高い点密度のデジタルデータを利用して、実際の地形を詳細に再現する3Dモデルが作成され、データ共有による工程管理の効率化に役立っています。今後は、さらに高精度化、迅速化が進むことは必至です。例えば、RTK搭載機の登場など、標定点(GCP)設置数の減少効果は、作業の迅速化につながります。山林や湿地など立ち入りが困難な現場でも、地上の条件にかかわらず測量できるので、現場に素早く到達し、迅速に作業を完了できます。短時間で作業できるということは、荒天時でも、天候が回復した一瞬を狙って作業できるという点で、工程管理においても大きなメリットといえるでしょう。

コスト面で不安も?

ドローンの導入には、機体購入費用、パイロット養成費用、デジタルデータ処理ソフトウエアのライセンス費用などが新たに発生します。市全域に渡るような広範囲の現場では、有人飛行機の方が迅速な作業が望めますし、民家一件程度の狭い敷地では、従来の地上測量の方が有利です。測量現場の広さやデータの利用目的に応じ、ドローンの導入の可否や機種選択を検討していくのがいいのではないでしょうか。

操縦や技術の向上が急務

測量士・測量士補がドローンの操縦技術を身につければ、その場でデータの評価が行えるので、ドローン測量の価値はさらに高まるものと考えられます。自動航行を基本としたドローン測量においても、危機回避といった安全管理の面では、パイロットの技量に頼らざるを得ないケースもまだ存在するからです。自動航行技術の一層の向上が急がれます。

機材の質の向上に期待が高まる

ドローン測量が一般化する中で、ドローン本体の操縦性の向上や、カメラの画質等機材面の向上が求められています。中でも、今注目されているのが、センチメートル単位の詳細測位データをリアルタイムに提供するために不可欠なRTKモジュールの搭載です。このモジュールが、意外なメリットをもたらします。 RTK非搭載機では、1平方キロメートルあたり最大40個の標定点(GCP)が必要でしたが、RTK測位モジュールを併用することで、RTK搭載機(DJI Phantom 4 RTK)ではGCP設置の数を減らしても高精度の測位データが期待できます。前準備の作業準備の時間を大幅に短縮でき、DJI社によると、設置時間を少なくとも75%短縮できるとしています。

土木業界で広がるドローン利用、9割以上で導入検討

ドローン測量は土木業界で今後も増加していくことが考えられます。測量業者のUAVの保有率は、2015年10月の全国測量設計業協会連合会の調査では28.8% にとどまっていました。2017年に日本測量協会が実施した「実務者のためのUVA利用活用セミナー」(東京など全国三か所)参加者を対象に行ったアンケート結果では、57.4%が「導入済み」です。「導入検討中」や「近々導入予定」を含めると業界の92.3%が、ドローンを実用しようとしている姿が浮き彫りになりました。ドローン中心としたICT をはじめ、多様な技術が測量技術と融合されることで、新たなサービスやビジネスチャンスも生まれてくるに違いないでしょう。

ドローンのビジネス活用をご検討されている方は、コチラまでお気軽にお問い合わせください。